テンプレート完成 !? #
今回は、前回に引き続き体裁を整えながら、テンプレートファイルをひとまず完成させてみようと思います
用紙サイズとか余白とか #
最終目的が「PDF」なので、印刷した時の体裁も気になりますね。LilyPond 標準のままでも美しいですが、LilyPond は段間を自動調整してくれるので、その都合でページ下端がキワキワになったりすることがあります。私はあんましキワキワだと嬉しくないので、最低限これだけは空けておいて欲しい、というマージンの指定をします
印刷時の体裁を変更する時は「 \paper 」を使います
\version "2.13.7"
\header {
title = "LilyPond の練習"
subtitle = "tut. 01"
composer = "作曲者"
arranger = "編曲者"
poet = "作詞者"
copyright = "最初のページのフッタ"
tagline = "最後のページのフッタ。通常 LilyPond 〜と入る"
}
\paper {
#(set-paper-size "a4")
line-width = 18.0 \cm
% A4 用紙のサイズは 21cm x 29.7cm なので、
% line-width 18cm ということは、(21-18)/2 で、左右余白が 1.5cm ずつになります
top-margin = 1.5 \cm
bottom-margin = 2 \cm
}
mainTrack = {
\key g \major
\time 3/4
c d e f | g a b c' |
}
\score {
\new StaffGroup <<
\new Staff {
\clef "treble_8"
\mainTrack
}
\new TabStaff {
\clef "tab"
\mainTrack
}
>>
}
ちょっと余白が増えたんじゃないかと思います。余白設定は好みもあるんで、しなくてもいいと思いますが、用紙設定は普段自分が使う用紙サイズを指定しておく方が、トラブルがなくてよいかと 1
実は MIDI も出力できます #
LilyPond は、MIDI ファイルの出力が可能です。このファイルがクセモノで、繰り返しとかは全て無視して頭から最後まで棒鳴らしなので、MIDI ファイルとして使うには他のソフトで編集する必要がありますが、記譜ミスを発見するには大いに役立ちます。自分では弾けてるものを譜面にするわけで、目で見てるだけだと脳内補完されてしまうんで、やっぱり音が鳴るってのは重要。MIDI ファイル出力するには「 \midi 」を使います
\version "2.13.7"
\header {
title = "LilyPond の練習"
subtitle = "tut. 01"
composer = "作曲者"
arranger = "編曲者"
poet = "作詞者"
copyright = "最初のページのフッタ"
tagline = "最後のページのフッタ。通常 LilyPond 〜と入る"
}
\paper {
#(set-paper-size "a4")
line-width = 18.0 \cm
top-margin = 1.5 \cm
bottom-margin = 2 \cm
}
mainTrack = {
\key g \major
\time 3/4
c d e | f g a | b c' r |
}
\score {
\new StaffGroup <<
\new Staff {
\clef "treble_8"
\mainTrack
}
\new TabStaff {
\clef "tab"
\mainTrack
}
>>
\layout {}
% midi 出力する際は、これもいれておかないと、修正が楽譜に反映されないっぽい。なんでだろ?
\midi { }
% これだけ
}
簡単ですね :-D でも、ほとんどの曲はこれだとユ〜〜〜ッタリすぎるんじゃないかと思います。テンポの指定をしたい時は、
\midi {
\context {
\Score
tempoWholesPerMinute = #(ly:make-moment 120 4)
% メトロノームなどでおなじみ、4 分音符で 1 分間 120 回、の意味です
}
}
というふうに「 \midi {} 」のところを変更するのですが、ここに書いても楽譜には表記されません。楽譜上にも表示したいので、mainTrack に「 \tempo 」を追加します
mainTrack = {
\tempo 4=120
\key g \major
\time 3/4
c d e | f g a | b c' r |
}
。。。で、実は「 \tempo 」指定がある場合、「 \midi 」の方に何も指定しなければそちらを見てくれるのですね。なのでやっぱり「 \tempo 」を書いておけば「 \midi {} 」の方は何も指定しなくても大丈夫です
変則チューニングも OK #
ソロギターの場合、変則チューニングを使うことも多いと思います
そんな時も、一行を追加するだけ OK です
\new TabStaff {
\clef "tab"
\set TabStaff.stringTunings = #guitar-open-g-tuning
\mainTrack
}
ノーマルチューニングの時と比べると、TAB の方が変わっています。上が Open G チューニング、下がノーマルチューニングです
「 #guitar-dadgad-tuning 」と指定すれば DADGAD になります
以前は
\set TabStaff.stringTunings = #'(2 -3 -5 -10 -15 -22)
のように指定する必要がありました。2 弦 1 フレットの「ド」の音を基準に、半音いくつ分高いか/低いかを指定しています。これが 1 弦から順番なんで、ギタリストにはわかりづらい (^^; 2
でも、今は、おかげさまで
\set TabStaff.stringTunings = #guitar-dadgad-tuning
と、非常に分かりやすいです :-D
この定義は、LilyPond のパッケージに含まれる「 tablature.scm 」というファイルでされていますので興味がある人は覗いてみてください
。。。で、覗いてみたら、今使っている LilyPond の tablature.scm、dadgad の指定が間違ってるわ (^^; 修正ついでに、代表的なものを表にしておきます
名称 | チューニング (右が 1 弦) | 指定方法 | 弦単位での指定 (左が 1 弦 ) |
---|---|---|---|
ノーマル | E A D G B E | guitar-tuning | ‘(4 -1 -5 -10 -15 -20) |
7 弦ギター | B E A D G B E | guitar-seven-string-tuning | ‘(4 -1 -5 -10 -15 -20 -25) |
Drop D | D A D G B E | guitar-drop-d-tuning | ‘(4 -1 -5 -10 -15 -22) |
Double Drop D | D A D G B D | - | ‘(2 -1 -5 -10 -15 -22) |
D Modal | D A D G A D | guitar-dadgad-tuning | ‘(2 -3 -5 -10 -15 -22) |
Open D | D A D F# A D | guitar-open-d-tuning | ‘(2 -3 -6 -10 -15 -22) |
Open Dm | D A D F A D | - | ‘(2 -3 -7 -10 -15 -22) |
Open G | D G D G B D | guitar-open-g-tuning | ‘(2 -1 -5 -10 -17 -22) |
Open Gm | D G D G A# D | - | ‘(2 -2 -5 -10 -17 -22) |
C A D G A D | - | ‘(2 -3 -5 -10 -15 -24) | |
リュート | E A D F# B E | guitar-lute-tuning | ‘(4 -1 -6 -10 -15 -20) |
Open Asus4 | E A D E A E | guitar-asus4-tuning | ‘(4 -3 -8 -10 -15 -20) |
その他指定 #
MIDI の項で「 \layout {} 」記述したので、せっかくですから利用例を
\layout {
\context {
\Staff
\override StringNumber #'transparent = ##t
}
}
クラシックギターの譜面とかだと、五線譜に指とか弦を表すマークが、こんな感じで記載されています
この例では、弦番号は表示しないようにしました。タブ譜なんで、弦番号はいらないですよね?
テンプレート完成! #
今までの要素を全部いれたテンプレートです。ダウンロードはこちらからどうぞ [ lilypond_template.ly ]
\version "2.13.7"
\header {
title = "LilyPond の練習"
subtitle = "tut. 01"
composer = "作曲者"
arranger = "編曲者"
poet = "作詞者"
copyright = "最初のページのフッタ"
tagline = "最後のページのフッタ。通常 LilyPond 〜と入る"
}
\paper {
#(set-paper-size "a4")
line-width = 18.0 \cm
top-margin = 1.5 \cm
bottom-margin = 2 \cm
}
mainTrack = {
\tempo 4=120
\key c \major
\time 4/4
c d e | f g a | b c' r |
}
\score {
\new StaffGroup <<
\new Staff {
\clef "treble_8"
\mainTrack
}
\new TabStaff {
\clef "tab"
\set TabStaff.stringTunings = #guitar-tuning
\mainTrack
}
>>
\layout {
\context {
\Staff
\override StringNumber #'transparent = ##t
}
}
\midi {}
}