いつも何度でも (1) #
今回から、「いつも何度でも」のタブ譜を作りながら、LilyPond の使い方を紹介していきます
演奏動画はこちら
タイトル / キー / テンポ / チューニング #
前回 作成したテンプレートを使って、まずはタイトルなどを入力
\header {
title = "いつも何度でも"
subtitle = "- 千と千尋の神隠し -"
composer = "作詞: 覚和歌子 作曲: 木村弓"
arranger = "ギターアレンジ: ひげまる"
poet = "Key: F (5Capo C)"
copyright = ""
tagline = ""
}
キーは F ( 5Capo C ) なので、カポをした状態の C にしておきます
テンポは、自分の気持ち的には 130 くらい。拍子は 3/4 です
mainTrack = {
\tempo 4=130
\key c \major
\time 3/4
}
チューニングはノーマルチューニングです
\new TabStaff {
\clef "tab"
\set TabStaff.stringTunings = #guitar-tuning
\mainTrack
}
弦の指定 / フェルマータ / スラー #
さっそく音符をいれていきましょう。まずはイントロ
ローコードの C をおさえ、4 分音符の 5 弦、2 弦、1 弦 (ドドミ) を 3 小節です
mainTrack = {
\tempo 4=130
\key c \major
\time 3/4
c4\5 c'\2 e'\1 | c\5 c'\2 e'\1 | c\5 c'\2 e'\1 |
}
最初の「 c4\5 」は、「c の音を 4 分音符で。弦は 5 弦」の意味。音符の長さは、指定しない限り直前のものが有効になるので、以降、4 分音符の「 4 」は記載してありません 1
4 小節めは、「ドソーーーー」と弾いた後、弱起で歌メロに入ります。8 分音符で「ドレ」です
c4\5 c'\2 e'\1 | c\5 c'\2 e'\1 | c\5 c'\2 e'\1 | c\5 g\3 c'8\2 d'\2
「ドソーーー」とちょっとタメたいのですが、こういう時本来はどんな記号を使うのかよく知らないので、「ソ」にフェルマータでもつけときます
フェルマータは、弦を表す数字の後ろに「 \fermata 」とつければ OK です
あと、「ドレ」はハンマリングなので、それっぽく「スラー」をつけておきます
スラーは、後ろの音符を「 ( ) 」で囲みます
c4\5 c'\2 e'\1 | c\5 c'\2 e'\1 | c\5 c'\2 e'\1 | c\5 g\3\fermata c'8\2 (d'\2)
スラーは、上につけたい時は「 ^( )」を、下につけたい時は「_( ) 」を使いますが、たいていの場合「 ( ) 」としておけば LilyPond がよしなにしてくれるようです
あと、イントロ部分なんで「Intro.」とでも表示しておきましょうかね
% Intro
\mark \markup {Intro.}
c4\5 c'\2 e'\1 | c\5 c'\2 e'\1 | c\5 c'\2 e'\1 | c\5 g\3\fermata c'8\2 (d'\2)
「 \mark 」の行で、その位置の五線の上に記号や文字を挿入します。「{ }」の中の文字がそのまま表示されます
どうでしょう? 色々付け足していくと、ちょっと立派な楽譜に見えてきませんか ;-)
和音の表現 #
次の小節は、ベース音を「ドーミーソー」と鳴らしながら、メロディーライン「ミドソーミ」を弾きます。和音の場合はどうするか? 五線譜とタブ譜をグループにした時と同じで、「« »」を使います
<<
{ e'8\1 c'\2 g'4\1 r8 e'\1 }
\\{ c4\5 e\4 g\3 }
>>
メロディーライン、ベースラインをそれぞれ「 {} 」で囲み、「 \ 」でつなげます。前の方は旗が上向きに、後の方は旗が下向きになるので、「 {メロディー}\{ ベース } 」の方が読みやすいですね
全部一行で
<< { e'8\1 c'\2 g'4\1 r8 e'\1 }\\{ c4\5 e\4 g\3 } >>
と書いてもいいのですが、行を分けた方がわかりやすい気がします
今回はメロディーラインとベースラインでリズムが違うので「 « » 」を使いましたが、同じリズムの単純な和音であれば、「 < > 」を使って簡単に記述することも可能です
<c\5 e\4>4 <e\4 g\3> <g\3 c'\2> <c'\2 e'\1>
音符の長さは「 <> 」の後ろにつけます
ついでに、ここから A メロだよ! という意味で「□の中に A 」を表示してみましょう
先程でてきた「 \mark 」の応用です
% A
\mark \markup { \box A }
<<
{ e'8\1 c'\2 g'4\1 r8 e'\1 }
\\{ c4\5 e\4 g\3 }
>>
「{ \box A } 」とすることで、□の中に A が入ります。「 \box 」のかわりに「 \circle 」だと○の中に文字が入ります
あとは当分の間は面倒な入力だけなので、一気に入力してしまいましょう
mainTrack = {
\tempo 4=130
\key c \major
\time 3/4
% Intro
\mark \markup {Intro.}
c4\5 c'\2 e'\1 | c\5 c'\2 e'\1 | c\5 c'\2 e'\1 | c\5 g\3\fermata c'8\2 (d'\2)
% A
\mark \markup { \box A }
<<
{ e'8\1 c'\2 g'4\1 r8 e'\1 | d'4\2 g'\1 d'\2 }
\\{ c4\5 e\4 g\3 | b,\5 d\4 g\3 }
>>
<<
{ c'8\2 a\3 e'4\1 r8 c'\2 | b2\2 r4 }
\\{ a,4\5 c\5 e\4 | e,\6 b,\5 e\4 }
>>
<<
{ a4\3 b\2 c'8\2( d'\2 ) | g4\3 c'\2 d'8\2 e'\1 }
\\{ f,4\6 a,\5 c\5 | c\5 e\4 g\3}
>>
<<
{ f'4\1 f'8\1( e'\1) d'\2 c'\2 | d'4\2 r4 c'8\2( d'\2) }
\\{ d4\4 a,\5 d\4 | g,\6 b,\5 d\4}
>>
<<
{ e'8\1 c'\2 g'4\1 r8 e'\1 | d'4\2 g'\1 d'\2 }
\\{ c4\5 e\4 g\3 | b,\5 d\4 g\3 }
>>
<<
{ c'8\2 a\3 a4\3 b8\2(c'\2) | g2\3 r4 }
\\{ a,4\5 c\5 e\4 | e,\6 b,\5 e\4 }
>>
<<
{ a4\3 b\2 c'8\2( d'\2 ) | g4\3 c'\2 d'8\2 e'\1 }
\\{ f,4\6 a,\5 c\5 | c\5 e\4 g\3}
>>
<<
{ f'4\1 f'8\1( e'\1) d'\2 c'\2 | c'2\2 r4 | r2 e'8\1 f'\1 }
\\{ d4\4 a,\5 g,\6 | c\5 g\3 e'\1 | c\5 c'\2 }
>>
% B
\mark \markup { \box B }
<g'\1 c\5 >4 <g'\1 c'\2 g\3 e\4 >\arpeggio g'\1
<g'\1 b,\5 >4 g'8\1( a'\1) g'\1 f'\1
<e'\1 a,\5 >4 <e'\1 c'\2 a\3 e\4 >\arpeggio e'\1
<e'\1 e,\6 >4 <e'\1 b\2 g\3 e\4 >8\arpeggio( f'\1) e'\1 d'\2
<c'\2 f,\6 >4 <a,\5 c'\2 > <c'\2 c\5 >8 b\2
<f,\6 a\3 >4 <a,\5 b\2 >4 <c\5 b\2 >8^( c'\2)
<g,\6 d'\2 >4 <d'\2 g\3 d\4 b,\5 >8\arpeggio e'\1 d'\2 e'\1
<g,\6 d'\2 >4 g\3 e'8\1( f'\1)
c16\5 g'\1 g'\1 g'\1 e\4 g'\1 g'\1 g'\1 g\3 g'\1 g'\1 g'\1
<b,\5 g'\1>4 g'8\1( a'\1) g'\1 f'\1
a,16\5 e'\1 e'\1 e'\1 e\4 e'\1 e'\1 e'\1 a\3 e'\1 e'\1 e'\1
<e,\6 g\3 b\2 e'\1>8 f'\1 e'\1 d'\2 c'\2 b\2
<f,\6 a\3>4 <a,\5 b\2> <<{ c'8\2( d'\2) }\\{ c4\5 }>>
<c\5 g\3>4 <e\4 c'\2> <<{ d'8\2 e'\1 }\\{ g4\3 }>>
<g,\6 d'\2>4 <b,\5 g\3> <<{ d'8\2 c'\2 }\\{ d4\4 }>>
<c\5 c'\2>4 g\3 e'\1 | c\5 c'\2 e'\1 | c\5 c'\2 e'\1 |
<c\5 c'\2>4 g\3\fermata c'8\2( d'\2 )
}
どうでしょう? 行末の処理とか改ページ処理とか、全部自動できちんとできてると思います
さて、一番を全部入力しました。二番。。。繰り返しを使いたいですね
次回はそのあたりから
今回までのファイルは下記をダウンロードしてください
- LilyPond ファイル [ lilypond_tut04.ly ]
- 生成した PDF [ lilypond_tut04.pdf ]
-
あとで修正する時のことを考えると省略しない方がよいのかもしれませんが、全部つけると文字が多くなって読みづらいので、そこらへんは好みで ↩︎